僕たちはこれからどう食っていくか会議

東京は中目黒に集結した、全員メガネの男たち。彼らは視力が悪くとも、時代を見る目は持っているとかいないとか。

「idontknow.tokyo」「ALL YOURS」「HI MOJIMOJI」によるトークイベントまとめ、いよいよ大詰めの第4回目です。

彼らはこれからモノをどう作り、どう売っていくのか。すなわち、どう食っていくのか。

最後はあの「ほぼ日」を始めた糸井重里さんの言葉にたどりつきました。


【第1回】僕たちに何が起こったのか
【第2回】僕たちに共通していたこと
【第3回】僕たちはどう売っていくか
【第4回】僕たちはどう食っていくか
【第5回】僕たちが大切にしてること

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【4】これからどう食っていくか

木村 木村:これから僕たち、どう食っていきましょう。

青木 青木:そこですよ。

木村 木村:たとえば「HINGE」はデザイナーさん向けに作ったら、意図しない腐女子のコミュニティにも響いた。つまりコミュニティベースでモノが売れてるんですよね。だから自分たちからコミュニティに向かって発信していくのが大事だと思うんです。

木村

木村 木村:たとえば今日みたいなトークイベントで「こういう考え方で作ってますよ」「こういう風にしたら上手くいきましたよ」みたいな事例をシェアして、それを参考に実行してみる人が現れたりする。そういう人たちが増えることによって、モノが売れたり、また新しい商品が生まれるんじゃないかな。

田久保 田久保:僕はグラフィックデザイナーとして独立するまで、すべての仕事がクライアントワーク(依頼される仕事)だったんですね。広告代理店とかいろんな業者が絡んでいて、世の中に公開するタイミングも完全にできあがってるんです。

木村 木村:情報解禁が制限されますよね。

田久保 田久保:だから木村さんが前に仰ってた「発想から発送まで」って考え方が自分にとっては新しくて。アイデアが浮かんで「こんなの作り始めたよ」ってネットで配信して「こういう壁にぶつかったよ」「ようやく形になったよ」「発送するぜ」まで全部やるんですもんね。

田久保

田久保 田久保:今日集まったメンバーの商品がSNSでバズったのって、使い手でもある自分たちがユーザーとして売ってるからだと思います。実際に使っているところとか、商品ができあがるまでのストーリーだとかを高い熱量を持って発信すると「自分もこういう使い方ができそうだな」って、見てる人には伝わるはずで。ユーザー目線からユーザー目線に届いたというのは今回、大きかったんじゃないかな。

木村 木村:著名人が発信すると結構バイアスがかかりますもんね。でもこうしてSNSで発信したことで新しい世界が見えた感があります。

田久保 田久保:失敗したらすぐ編集したり更新できるのもネットのいいところですね。

木村 木村:オールユアーズは販売前に全部公開するんです。どういう風に考えて作ったとか、ここを悩んでるだとか。

治田 治田:商品が売れた数も可視化してますよね。

治田

木村 木村:売れた数も買った人数も全部オープンにしてます。「モノを売る」というより「何人巻き込めるか」と考えてますから。

田久保 田久保:それで「共犯者」。

木村 木村:そう、オールユアーズはお客さんのことを「共犯者」と呼んでます。

青木 青木:別に悪いことしてないのにね(笑)

木村 木村:世の中に対して新しい考え方を提示してるので、ちょっと悪いことをしてる感覚で楽しんでもらいたいんです。

青木 青木:スティーブ・ジョブズも「海軍に入るより海賊であれ」って言ってましたもんね。

木村 木村:だから僕にとっての「これからどう食っていくか」は「共犯者をどう巻き込んでいくか」ですね。

HINGE

青木 青木:思えば「WORKERS’BOX」「HINGE」も地味な商品なんですよね。

木村 木村:そう、めちゃくちゃ地味。

青木 青木:ファッションやグラフィックの世界では「流行」があって、スタイルを取り入れることが一般的でした。「こんな80年代テイストどうですか」とか「今こんなテイストがキテます」みたいな。僕もメーカーでデザイナーをやっていたときは流行りを意識してたのですが……

木村 木村:ええ。

青木 青木:でもアイドントノウで「HINGE」なんかを作ってみて、どちらかというとノコギリを作った感覚があります。

HINGE
▲ひらめきを逃さないツール「HINGE」

木村 木村:普遍的な「道具」ってことですね。

青木 青木:「マイナスドライバーってものを作ったぞ」みたいな。そういう感じに到達できた、そのさわりが今回できたような気がしていて。ハイモジモジさんもそうですよね。

松岡 松岡:「WORKERS’BOX」も本当に、モノとしてはただの箱といえば箱ですしね。なのに売れてるってことで、木村さんに「錬金術」と言われました(笑)

WORKERS’BOX
▲とにかく書類や小物を放り込むだけの「WORKERS'BOX」

治田 治田:でも地味だからこそ、ちゃんと説明しなきゃいけないわけですよね。

木村 木村:そう、自分たちで発信しないといけない。

青木 青木:ドライバーだって「ただの棒じゃん」って言われたらその通りで。

角田 角田:そうそう。それを「どう使うのか」を伝えないといけない。

角田

青木 青木:みんな素直にやると、シンプルなものを作ると思うんですよ。たとえば子供のために巾着袋をこしらえるときに、やたら変なギミックを入れる人っていないですよね。自分たちのために作ったら、シンプルでいいものができると思うんですね。それなのに、いざ売るとなると「色を派手にしないと売り場で目立たないんじゃないか」と思ってしまう。

角田 角田:ファッション要素とかね。

青木 青木:何かもう一個入れちゃうところがある。そのやり方が今までは正しかったわけですけど、今回の経験を経て「ネットでこんなにたくさん書いても読んでくれるんだ」と思ったら、すごく地味なものでもいくらでも思いを込められるし、伝えられる。それが勇気になった。

角田 角田:それこそ売り場を意識してないから。

青木 青木:よく「売り場では3秒で判断される」って言われるじゃないですか。デザイナーの仕事って、トレンドを入れるなり、びっくりさせることが仕事のコアだったんですけど、そういうのはもう無くなったんじゃないかと思ってます。ちゃんといいものを、ちゃんと語れるインフラが整ったので。

角田 角田:ネットは誰でも使えるからね。

青木 青木:「HINGE」も最終的にはブラックとホワイトを発売しましたけど、僕、はじめは黄色も作ろうとしてましたからね。

角田 角田:えっ、そうなの?

青木 青木:「売り場で目立つから黄色は絶対いる」って言い張って。でも田久保さんに止められました。

田久保 田久保:気持ちは分かりますけどね、売り場のことを考えたら。

田久保

青木 青木:でもウェブ中心に売るって決めて、やめたんです。

木村 木村:前提条件を外していくと、もっと自由度が逆に上がるし、インターネット的ですよね。インターネットで売ることを前提に考えると売り場で目立つ必要がない

松岡 松岡:うちも以前は「パッケージも含めて商品」と考えて力を入れていましたが、それこそ「WORKERS’BOX」もネット中心で販売してるので、過剰なパッケージがないんですよ。

木村 木村:見た目で勝負するんじゃなくて、どちらかというとコンテンツとか文脈の勝負ですよね。

青木 青木:しかもそれが嘘じゃなくて。

木村 木村:そうそう、「自分が欲しいものである」と。

青木 青木:つまり「正直者が得をする」と?

木村 木村:「インターネットは正直者が得をする」って、10年以上も前に糸井重里さんが言ってるんです。

青木 青木:言ってましたか。

木村 木村:僕ら、みんな「ほぼ日」が好きなんですよね。

松岡 松岡:かつて広告の仕事をされていた糸井さんが「ほぼ日」を始めた理由として「メーカーになりたかった」って仰ってたんです。僕がメーカーをやり始めたのはその後追いをしているようなもので、糸井さんの影響を受けまくってます。

HINGE

青木 青木:僕も「ほぼ日」にはすごい憧れて、普段からすごい読んで、本当に憧れているんですけど、彼らができないことができると思ってて。

木村 木村:おっ!

角田 角田:彼らを超えていくんですね。

治田 治田:「ほぼ日」と同じことをしてもしょうがない、と。

木村 木村:青木さんっていつも「逆ばり」ですよね。

青木 青木:えっ、逆ばり?

木村 木村:「人と違うことをやりたい」

青木 青木:いやいや、全然、全然。僕、世の中が正しいと思うことをやろうとしているだけで。

木村 木村:ということで、終わります(笑)

青木 青木:本当なのに(笑)

ポスター

あと1回だけ続きます。最終回は、客席からの質問コーナーです。



【第5回】僕たちが大切にしてること

プロダクト紹介その4

by Atsushi Matsuoka

両方から履けるサンダル【ぬぎっパ】

両方から履けるサンダル【ぬぎっパ】


これ、なんだと思います? 実は両方から履けるサンダルなんです。これ思いついた人、ちょっと天才なんじゃないですか?

たとえば洗濯物をベランダに干しにいくとしますよね。で、まだ服が残ってるから、一度サンダルを脱いで部屋に取りにいくとしますよね。すると次にサンダルを履きにくいから、ひっくり返して置きがちじゃないですか。でもこれなら「脱ぎっぱなし」で、どっちからでも履けるんですよね。


なぜいきなりこの商品を紹介したかというと、トークイベントの質問コーナーで「最近買ったものは?」という質問があったんです。モノづくりをしている人たちが普段どんなモノを買っているのか参考にされたかったんでしょうね。で、僕はこの商品を紹介させてもらったというわけ。その便利さに会場が湧いてましたよ。

今回、そのコーナーの書き起こしはしませんでしたが、イベント中継時の映像が残っていますので、オールユアーズやアイドントノウの方々がどんなモノを買ったのか、ぜひ見てみてください。

WORKERS' BOX

デスクが片づくファイルボックス【WORKERS'BOX】


片づけが苦手なデザイナーが自分のために作ったところ、Twitterを中心に「こういうのが欲しかった!」の声が殺到したプロダクトです。トークイベントでも何度も引き合いに出されています。ぜひ実物を試してみてください、本当に身の回りがスッキリしますよ。

【WORKERS'BOX】の詳細はこちらから

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WORKERS'BOX公式サイト

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ブランドサイトをオープンしました。「WORKERS'BOX」に関するすべての情報がここに集約されています。ご購入もこちらからどうぞ。
【徹底討論】なぜモノは片づかないのか

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モノって、なぜ散らかるんでしょうね。デスクが片づくファイルボックス「WORKERS'BOX」が生み出された背景を語り合いました。全6回の連載です。
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